もう発売から22年ほど経つアイコムの430MHz帯FMハンディトランシーバ、IC-3STを所有しています。無線局事項書にも載っている現用機ですが、内臓バッテリーが駄目になり、適当な交換バッテリーが見つからないままに死蔵品になっています。また、S5程度の信号でもノイズが多く、復調がうまくいかない傾向があります。受信復調に関してはPLLの周波数ズレだと思い、PLLを調整する事にしました。
アンテナ端子にダミーロードを接続し、線路の途中に20dBカプラを入れて周波数カウンタに接続します。
電源電圧は13.8Vに調整します。
IC-3STのPLLユニットはシールドケースの中にあります。調整は、ロック電圧と、発振周波数です。
右寄りに二つ開いている穴は、左が周波数調整、右がロック電圧の測定ポイントです。
シールドケースのアルミシールを剥がすとロック電圧を調整するための穴が現れます。
調整は全て周波数を4440.00MHzにして行います。
初めにロック電圧の調整をします。ロック電圧測定ポイントの穴にテスターを挿しこんで、測定点の当たりを探り、電圧を測定します。
送受信の電圧が高い方の電圧を3.0Vになるようにロック電圧調整穴からドライバーを挿しこんで調整します。
次に送信時の周波数を測定し、周波数調整用の穴にドライバーを挿しこんで440.00MHzになるように調整します。本機の場合は調整前が440.00120MHzと1.2KHz高い周波数にずれていました。439.99997MHz(30Hマイナス)まで調整しました。送信していると熱を持ちドリフトが発生します。だんだん周波数が低い方にずれる傾向がありましたので、本当は少し高間に調整しておいた方が良かったかもしれません。
以上で調整は完了です。
ホイップアンテナを付けて窓辺で何局か受信してみました。調整の効果はありました。調整前はノイズだけだったS1、2程度の弱い信号でもそれなりに復調できるようです。送信局側の周波数ズレとの関係もあると思いますので、少しワッチしながら効果を確認したいと思います。